この粉末が金属になる!って信じられますか?難しく言うと「粉末冶金」という技術です。私たちは、この粉末をダイヤモンドに次ぐ硬度を持つ金属に“育てて”いるのです。鉱石ではなく“タマゴ”とか“タネ”というのが一番マッチしてると思いませんか?
真っ黒に見える粉末も、実はタングステンカーバイトとコバルトが混ざったモノ!この粉末を6時間から72時間かけて均一に混ぜ合わせることによって、超硬合金の性格を決めていくのです。同じ超硬合金と言っても、硬さ・強度など用途によってタイプが違い、それをコントロールできるところに超硬合金の価値があるのです。
超硬合金は予備焼結→本焼結を経て超硬合金製品となります。本焼結の際の温度は実に1200度から1400度以上。玄武岩質マグマが1200度と言われますので、地球のエネルギーよりも高い温度で超硬合金を造っているのです。
厳密に言うとダイヤモンドに次ぐ硬度を持つ超硬合金は切ることはできません。そこで電気のチカラを使って溶かすのです。ワイヤーから放たれる電気スパークが超硬合金の表面を溶かす!というようにイメージしてください。もちろんミクロン単位で!それほど繊細な加工をしているのです。
私たちの製品は市場に出ることはありません。私たちの製品を使って造られる製品が市場に、消費者の手に渡るのです。私たちは様々な製品を造るための「マザーツール」を造っているのです。マザーツールに求められる精度は大半が1000分の1mm単位。そのオーダーに私たちは応え続けています。
品質管理という仕事をご説明します。組成段階から自分たちの手でコントロールした超硬合金をユーザー様に納品している私たちは、その1個1個の品質に“完璧”を要求しています。それがメーカーとしての当然の使命だからです。数々の検査機器、豊富な検査経験が信頼の二文字を支えています。
メーカーにおける営業の役割は“数字”に代表される売上げではありません。もちろんそれも大切なことですが、営業は技術力向上のキッカケづくりをしているのです。メーカーが自らの“身の丈の範囲内”の仕事だけをしていては、技術は停滞してしまいます。常に高みを目指し、ユーザー様からのリクエストに柔軟に応えるためには進化・成長が不可欠です。そのキッカケを営業がつくっています。
私たちは超硬合金の製造・加工を行い、それら製品をユーザー様に届け、ユーザー様の手で次のカタチ「生産装置」に変わります。しかし、私たちの手で直接生産装置(マザーツールと言います)もつくっています。それが各種の金型です。素材・加工を熟知している私たちだからこそ、高付加価値の金型がつくれるのです。
これまでご説明してきたように、超硬合金製造(粉末冶金・金属加工・金型製造)は様々なテクノロジーの結晶です。これらのテクノロジー・ノウハウを発揮し、応用することで既存のビジネスに囚われない「まったく新しいビジネス」が生まれているのです。新聞・ニュースでご存知かもしれませんが、すでに幾つかのプロジェクトが稼働しています。私たちの技術は、私たち自身をも作り替えようとしているのです。